京都市北区の内科医院です。消化器内科、糖尿病内科、高齢者にやさしい医療、膵臓疾患、地域医療連携を得意としています。

片頭痛について

なにをかくそう、わたしはかなりの片頭痛持ちです。気づいたときから痛み止めが身近にないと不安になり、すべてのバッグの中には今でも消炎鎮痛剤が1個か2個放り込んであるのが実情です。
小学生ごろから痛み止めを飲んでいたような記憶もあり、母もしょっちゅう痛み止めを内服しておりました。母の親戚のおばあさんも、しょっちゅう痛みにこらえた顔をしておられたと聞いています。どうやら筋金入りの頭痛家系のようです。
医師になって、外来などの仕事に携わると頭痛の方がかなり多いことに驚かされます。片頭痛の方も、筋緊張型(肩こり)頭痛の方もこの世にはなんと多いことか。特に女性に多く、その中でも月経関連片頭痛の方がかなりおられます。
私自身も、自分が片頭痛であるとわかったのはつい2、3年前でした。それまでは頭痛発作とともにやってくる言いようのない肩や首の張りから、自分は筋緊張型頭痛であると信じきっていました。ところがひょんなことから渡された片頭痛の薬(トリプタン系といわれる薬)を内服したところ、嗚咽を伴うむかつきがすーっと引いていき、湧き上がる頭痛が氷を溶かすように消えていったのでした。
「私って、片頭痛だったんや!」
薬が効いたことのうれしさと、片頭痛という病名を決定付けられたことへのショックからしばらく呆然としたことを覚えています。
よく考えてみたら、頭痛の時には、音や光に極端に過敏になったり、定期的に頭痛発作が起こるなど片頭痛の要素は十分あったはずなのに、医者になって10数年も自分の頭痛に客観的な判断ができていなかったんですね。お恥ずかしい。
恥ずかし話をするために、自分の体験をお話しているわけではありません。私のように、この世の中に、自分は肩こり頭痛だと信じきっている片頭痛の患者さんは思いのほか多いのではないかと感じます。
片頭痛に関しては、単独の片頭痛も肩こり頭痛を混合しているタイプもあり、判断が難しい場合もあります。それに対して消炎鎮痛剤(いわゆる痛み止め)を多用していると、胃腸障害をきたすことも腎機能に悪影響を及ぼすこともあり、痛み止めの飲みすぎによる頭痛の誘発も起こることがあります。適切な薬の選択が必要です。
片頭痛をうそのようになくす人生があったら、私もそうなりたいものですが、残念ながらそれは少々難しそうです。ただ、現在、トリプタン系といわれる薬や、抗うつ薬、漢方薬など、頭痛のコントロールを行う手段はいろいろとでてきました。それらを上手に組み合わせて、自分にとって少しでも過ごしやすい頭痛とのお付き合いをしていくことが大切ではないでしょうか。
自分の生活スタイルを知り、自分に合った頭痛のコントロールを一緒に考えて行きたいと思っていますので、是非ご相談ください。