京都市北区の内科医院です。消化器内科、糖尿病内科、高齢者にやさしい医療、膵臓疾患、地域医療連携を得意としています。

膵癌について

マスコミの影響か、「膵臓は怖い」とおっしゃる方は近年ずいぶんと増えてまいりました。膵癌とは一体どのような病気なのでしょうか?膵癌は、嚢胞腺癌、膵管内乳頭腺癌、内分泌腫瘍などを含みますが、全体の約80%は浸潤性膵管癌で占められています。膵癌は世界的にも増加傾向で、我が国での膵癌死亡者数は年間2万人近くに上っており、男性では肺、胃、肝、結腸に次いで5位、女性では胃、肺、結腸、肝、乳房、胆道に次いで7位を占めています。
 怖がられる理由の第1は、なかなか早期に見つからないことでしょう。もちろん膵癌であっても小さなモノであれば切除して完治することが可能なわけです。ただし、初期の膵癌ではほとんど症状を呈しません。また、血液検査などでも初期に特異的な異常をとらえることは困難です。膵酵素の上昇、軽い上腹部痛、背部痛など軽微な異常をとらえて、いかに早期の膵癌を見つけていくかが重要なポイントとなります。
 超音波検査、CT、MRI検査など、膵臓に関する画像診断技術は日々進歩しております。ただし、いくら技術が進歩してもそれを用いないことには膵癌の早期発見率は上らないでしょう。機械の進歩以前に、我々の意識改革がより大切になるのではないでしょうか。
 人間ドック、定期検診などで膵の異常を指摘された場合、まず大丈夫と思っても、念のため腹部超音波や腹部CTなどで精密検査を受けましょう。自分を知り、自分の身体は自分で守るといった姿勢が今後の医療上ますます重要となっていくものと思われます。

 嚢胞腺癌や、膵管内乳頭腺癌など切除可能な予後のよい膵癌も、報告例が増えてきました。心配するより早めの受診をおすすめします。

この文は朝日新聞、”ほ~むめいどあさひ”、”健康通信すこやか”掲載されました。